会津八一 山光集・望遠(五首)
                               昭和十六年十二月
  山光集  「昭和15年6月から昭和19年4月に至る4年間に詠まれた246首。
        戦争時代を色濃く反映した作品も含まれる。戦中、戦後の価値観の
        転換によりこの集は3度出版され、歌の取捨が行われている」
  望  遠  「昭和16年12月8日(真珠湾攻撃)、日本は太平洋戦争へと戦線を
        拡大した。望遠5首は八一書簡から12月10日前後に詠まれたと思わ
        れる。戦争に出て行った学生たちを思う作品であり、八一の初めての
        戦争詠である。この頃詠んだ洪濤5首(12月17日朝日新聞掲載)は、
        戦後自作から完全に削除している」
                                        会津八一の歌 索引
1 十二月二十四日遠く征戍にある門下の若き人々をおもひて(第1首)
    みいくさ は よとせ を すぎぬ たち とりて 
                 わが ともがら の いで たちし より 
歌の解説
2 十二月二十四日遠く征戍にある門下の若き人々をおもひて(第2首)
    ぼたんかう よ の ま も ながれ やま ざらむ 
                 ひと の まもらふ くに の きはみ を 
歌の解説
3 十二月二十四日遠く征戍にある門下の若き人々をおもひて(第3首)
    うつせみ の いのち まさきく あらきの に  
                 いねて きく らむ こほろぎ の こゑ
歌の解説
4 十二月二十四日遠く征戍にある門下の若き人々をおもひて(第4首)
    シベリヤ の おほかみ むれて きこえ くる 
                 のべ の かりほ に いねず か も あらむ
歌の解説
5 十二月二十四日遠く征戍にある門下の若き人々をおもひて(第5首)
    よ を こめて かしぐ あさげ に こほろぎ の  
                 あし まじり ゐて わらふ ひ も ある か
歌の解説
                    
inserted by FC2 system