会津八一 山光集・平城宮址(十三首)
                               昭和十八年三月
  山 光 集  「昭和15年6月から昭和19年4月に至る4年間に詠まれた246首。
         戦争時代を色濃く反映した作品も含まれる。戦中、戦後の価値観の
         転換によりこの集は3度出版され、歌の取捨が行われている」
  平城京址 「3月11日、大仏讃歌10首を東大寺に献じた八一は、3月15日、
         大鹿卓を伴って平城宮址の大極殿を訪れ13首詠んだ。
         三月十五日大鹿卓とともに平城の宮址に遊び大極の芝にて 6首
         平城宮懐古 7首
         なお、南京新唱に平城京址を詠った2首がある。
         平城京址の大極芝にて 第1首 第2首
                                        会津八一の歌 索引
1 三月十五日大鹿卓とともに平城の宮址に遊び大極の芝にて(第1首)
    いこまね を そがひ に み つつ めぐり こし 
                 むぎ の なか なる ひとすぢ の みち    
歌の解説
2 三月十五日大鹿卓とともに平城の宮址に遊び大極の芝にて(第2首)
    ふるみや の をかべ に たてば いくとせ の      
                 はるび さしたり その くさ の ね に
歌の解説
3 三月十五日大鹿卓とともに平城の宮址に遊び大極の芝にて(第3首)
    すめろぎ は ここ に いまして ひむがし の       
                 おほき みてら を みそなはし けむ  
歌の解説
4 三月十五日大鹿卓とともに平城の宮址に遊び大極の芝にて(第4首)
    かれくさ に わかくさ まじり みだれ ふす    
                 おほみやどころ ふめば くるし も 
歌の解説
5 三月十五日大鹿卓とともに平城の宮址に遊び大極の芝にて(第5首)
    みはるかす ふるき みやこ の の の はて に  
                 ひと ありて うつ くは の かがやき      
歌の解説
6 三月十五日大鹿卓とともに平城の宮址に遊び大極の芝にて(第6首)
    いくむら の みささぎ まろく つらなれる  
                 ふるき みやこ の きたやま の そら   
歌の解説
7 平城宮懐古(第1首)
    あるとき は ないだうぢやう に こもり けむ     
                 ひびき すがしき そうじやう が こゑ 
歌の解説
8 平城宮懐古(第2首)
    あるとき は かの とうざん の うばそく が 
                 ぢぶつ の ひかり さし いり に けむ
歌の解説
9 平城宮懐古(第3首)
    あるとき は みちのくやま に さく はな の 
                 くがね いでぬ と とよめき に けむ   
歌の解説
10 平城宮懐古(第4首)
    あるとき は まなこ しひたる たうそう に 
                 もの たまはりて ねぎらはせ けむ    
歌の解説
11 平城宮懐古(第5首)
    あるとき は からびと さびて すごろく の     
                 さい ふり けらし みやびと の とも 
歌の解説
12 平城宮懐古(第6首)
    ひさかたの つきひ はるけき おほみや の 
                 かれたる しば に もの もひ やまず    
歌の解説
13 平城宮懐古(第7首)
    いくたび を われ また きたり この をか の 
                 みくさ の うへ に もの おもはめ や  
歌の解説
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