会津八一 山光集・山本元帥(七首)
                               昭和十八年五月
  山 光 集 「昭和15年6月から昭和19年4月に至る4年間に詠まれた246首。
         戦争時代を色濃く反映した作品も含まれる。戦中、戦後の価値観の
         転換によりこの集は3度出版され、歌の取捨が行われている」
  山本元帥 「昭和18年4月18日に戦死した山本五十六(いそろく)連合艦隊司
         令長官を詠った7首。当時斎藤茂吉など多くの歌人、詩人が追悼の
         歌を詠っているが、今日的に言えば悪しき戦争の指導者への空疎な
         追悼とも言える。しかし、この時代の事情と雰囲気が詠わした歌でも
         ある。なお、山本元帥は八一と同じ新潟出身である」
                                        会津八一の歌 索引
1 五月二十二日山本元帥の薨去をききて(第1首)
    うつせみ の ちから を つくし わたつみ の 
                 そら の みなか に かむさり に けり     
歌の解説
2 五月二十二日山本元帥の薨去をききて(第2首)
    しづめ こし うなばら とほく たつ くも の  
                 しづけき みね を きみ と あふがむ      
歌の解説
3 五月二十二日山本元帥の薨去をききて(第3首)
    たぐひ なき くに つ みたま の のぼり く と 
                 やすのかはら に かむつどひ せむ        
歌の解説
4 五月二十二日山本元帥の薨去をききて(第4首)
    おほそら の ほし に つづりて よろづよ に 
                 みな は つたへむ ヤマモトイソロク     
歌の解説
5 国葬の日に(第1首)
    つらね うつ はう は も かなし いづく に か 
                 ききて ゑまさむ きみ も あら なく に       
歌の解説
6 国葬の日に(第2首)
    なにびと か けふ の はふり に ぬかづきて 
                 きみ が みたま に なか ざらめ や も     
歌の解説
7 国葬の日に(第3首)
    さすたけの きみ を つつみて ふるさと の 
                 やま は しげらむ のち の よ の ため に     
歌の解説
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