画家・谷岡経津子
            2016・5・21    谷岡経津子2へ

谷岡経津子1・はじめに(敬称略) 
 ずっと日展(20回入選)で作品を見続けてきた画家・谷岡経津子(光風会会員、日展会友)は知り合いの同級生で、四日市博物館の館長である。博物館のエレベーターでお会いして、その後何回か話をする機会を得た。
 画家であり、館長であり、四日市大学の名誉教授である人に親しくしていただくのは嬉しい。今回、彼女を紹介しようと思ったのは、立派にいろいろな活動をしているのにおごりがなく親切で人懐っこいことに感じたからだ。
 経歴はのちに紹介することにして、画家自身の絵に対する言葉を以下に引用する。
作品への思い
 近代洋画の美術史に残る巨匠が生まれた画壇「光風会」にあこがれ門をたたいて半世紀以上になる。1993年「高原の室内」1997年「有明」に代表されるような初期の作風は、爽やかな「青」を基調に、カール・ブッセの言葉のごとく<山のかなたの空とおく幸い住むと人のいう・・・>室内から見える戸外の風景に未来への幸せの予感を切望していた。
 次の作品は「赤」を中心としたタイトル「鶏頭炎花」「鶏頭燃ゆる」のあふれる生命感を追及する。その後、具象を超越したところの生きとし生けるものの鶏頭花の儚さを表現した「秋映鶏頭」へと変遷する。
 この10年の画風は「饗宴」白の詩」から始まる胡蝶蘭シリーズである。「白」を基調にもう一度原点に戻ることになる。「白」ほど複雑な色は魅力的であり追及する価値がある。自己の心の中に感動と葛藤の歳月が流れている。「生きていく限り作品は未完である。」



谷岡経津子2・経歴など 
 兵庫の同級生Mがメールでこう言ってきた。「ブログ(谷岡経津子1を見た。・・・四日市博物館は中々魅力的で、プラネタリウムは特に良いなあと思った。星って何だかロマンを感じるから館長さんの絵、高田本山・専修寺の門のところの休憩所に無かったかな?日展は地方によって違うから、中々拝見はしにくい。お会いした事は無いけれど、みんなのメールからも気さくに接して下さって、色んな情報を教えて下さるように感じた
 高田本願寺に寄贈された絵ノブ君ハイキングで去年拝見した。赤を中心にした鶏頭の絵である。
 ここで簡単に経歴を書いておく。
 1943 三重県津市生まれ
 1961 津高校卒業 三重大教育学部美術学科卒業(1965) 
 1964 光風会第50回記念展初入選、個展開催1回
 1983 光風会東海展第69回S氏賞受賞
 1993 日展初入選(通算20回入選)
 2013 日展東海展中日賞受賞
 現 在 光風会会員 日展会友 四日市博物館館長 
      四日市大学名誉教授 
      三重県ユネスコ連絡協議会理事長 等

                  (掲載写真は2016・3・9に撮影)


谷岡経津子3・日展など 
 日展に出かけると大量の作品の中で彼女の絵を真っ先に探す。赤い鶏頭、白い胡蝶蘭が目に飛び込んでくる。花をモチーフにした作品の中に力強い生命力を感じる。じっくり眺めていると他の作品がかすんでくるような気がする。その後、自らが手掛ける彫刻の部屋に急いで行く。
 洋画を描く同級生M(三重)は以下のように言ってきた。「日展へ行く楽しみのひとつに先生の画があります。鶏頭花の燃えるような絵が大好きです。今年のは、胡蝶蘭舞うサミットの花と題してありました。清楚な中に、力強さを感じました」。さらに「先生の絵がノリタケの森ギャラリ-で展示されます。2016年5月17日から22日まで開催です」と書いてきた。
 「ノリタケの森」は名古屋市西区にある公園、レストラン、ミュージアムなどを含む複合施設。若いころに西区に住んでいたので一度は出かけたいと思っている。
    


谷岡経津子4・光風会、日展 
 画家・谷岡経津子は光風会会員、日展会友である。ここで光風会と日展について書いておく。
 光風会とは白馬会(1896年・明治29年に黒田清輝と久米 桂一郎を中心に結成)解散後、白馬会に出展していた7人が1912年・明治45年に設立し、その後ほぼ毎年公募展を開き、日本の絵画をけん引してきた。現在は工芸部門もある。
 光風会理事長・寺坂公雄は、「私共は春がきて無意識に咲いた野の草花のようだ……隠れた無名の花を紹介する廣い花園を開拓した」(1912年の設立趣意書)を引用し、この精神と志を受け継ぎ後進を育てたいと言う。
 日展(日本美術展覧会)は1907年・明治40年に官展として出発した文展(文部省展覧会)の流れをくむ。文展は、帝展、新文展と名をかえ、敗戦後の1946年・昭和21年に文部省主催による日本美術展覧会(日展)として再出発した。日本を代表する展覧会で、日本画、洋画、彫塑、美術工芸の4部門がある。毎年秋の東京展には約1ヶ月で16万~18万人が来場する大きな展覧会である。
 こんな画家(四日市博物館館長)のことを前述の同級生Mはこういう。
 「(3月6日は)ロビーで館長さんが、待ち受けてみえましたよね。いつもおしゃれで、依然お会いした時は素敵な帽子をかぶってみえました。話すテンポが速く、話題も豊富な方です。館長さんがお似合いですね。見学の私たちを、ずっと前からの知り合いのような親しみをもって、もてなして下さいました


谷岡経津子5・高校、大学 
 彼女は津高校から三重大学に通った。卒業後、四日市大学短期大学部を経て四日市大学教授、2012年四日市博物館館長に就任、2015年四日市大学名誉教授の称号を贈られた。
 津高校のTさん(愛知)の同級生で、彼にはスキーやゴルフでお世話になり、その関係で彼女と面識ができた。

 Tさんの奥さんが素空の同級生で仲良くしており、彼女を中心にここのところグループで四日市博物館を訪問してきた。その奥さん・Hがグループメールで以下のように言ってきた。
 「谷岡さんの、あの人懐っこい笑顔と心配りには参ります。私達が四日市博物館へ到着するころ、ロビーで待っていて下さったのには驚きました。その時、手には特大サイズの絵本があり、“ここで子どもたちが一杯来て読んでいってくれるのよ~”と満面の笑顔。誰もが彼女の魔法にかかってしまいそうです。“今日は小学生の団体来館者があるからこの服を着てきました”と、子ども受けしそうなドレス。子ども達の来館を心から喜んでいるのが伝わって来ました。
 ノリタケの森ギャラリ-で5月17日から22日まで開催の展覧会には、またみんなで行きましょう

 


谷岡経津子6・博物館館長 
 多忙な方なのに彼女はとても親切である。年下である私たち同級生の仲間を分け隔てなく尊重し、もてなしてくれる。
 そんな館長のことを同級生O(三重)はこう書いてきた。
 「初対面の私にも、笑顔で接してくださり、なんとも親しみのある方で、館長という硬いイメージを取り払ってくれた。
 夫があれからプラネタリウムに星空を見に行きました。星空見上げるのもええなあ~と満足した様子です

 今回の博物館行きには参加できなかった同級生F(三重)はこう言う。
 「谷岡館長、会ったのはもう半年以上も前だった。その時は、以前から知り合いのように話をして下さった。親切な説明があり、パンフレットをたくさんもらったね
 博物館は平成5年11月1日開館。「伊勢湾(うみ)と鈴鹿山脈(やま)のある四日市の文化と生活環境」を基本テーマに四日市の歴史と文化を紹介する常設展示、郷土を代表する作家・丹羽文雄の事績を展示する丹羽文雄記念室に加え、多種多様な企画展や教室等、そしてプラネタリウム。
 平成27年3月21日にリニューアルオープンしたプラネタリウムは世界で一番たくさんの星を写しだすことができる最新プラネタリウムである。
 また、同じ日に「四日市公害と環境未来館」が博物館の1~2階にオープンし、「博物館・プラネタリウム」と「四日市公害と環境未来館」の各施設を総称する名前を四日市市は「そらんぽ四日市」と決定している。



谷岡経津子7(完)・そらんぽ四日市 
 「四日市博物館・プラネタリウム」と「四日市公害と環境未来館」を総称する「そらんぽ四日市」という名前は、来館者から名前を募集してその中から選んだという。「そら(空)」と「さんぽ(散歩)」を組み合わせた造語で、そらは青空を取り戻した四日市などをイメージし、さんぽは各施設を巡って学んでほしいとの思いを込めたという。なかなかいい名前だが、まだなじんでいない。
 谷岡館長はある場所でこんな発言(平成19年)をしている。
 「 今まで考えられないような非常識が常識になっている、そのぐらい世の中は変わっているんだということを私はつくづく実感します。例えばメディア映像ですね。ITの映像でも思わぬ映像が飛び出す。それがやはり若者に受ける・・・」この心根と親切な人柄が支える四日市博物館・プラネタリウムの発展は間違いないと思う。
 4月の四日市の広報にはプラネタリウムの観覧引換券が付いていた。四日市市の努力も実感する。ぜひ、みなさんも出かけてほしいと思う。
 最後に「当日(3月6日)博物館前は、ハトがいっぱいだったね」という同級生M(四日市)の俳句を引用して終わりたい。
         博物館前園庭にて
                長閑けしや銅像の頭に鳩遊ぶ  


追 記

谷岡経津子 ・ノリタケの森ギャラリー 
 5月21日(土)、名古屋駅近くのノリタケの森ギャラリー訪問、メンバーはH(愛知・一宮)、M(兵庫・川西)、T(愛知・蟹江)。画家・谷岡経津子が満面の笑顔で迎えてくれた。
 展示のタイトルは「 TAIWAN JAPAN ART FRIENDSHIP 紅色・藍色 」で、会場正面奥にある胡蝶蘭の大作が圧倒的な迫力を持って眼前に迫ってくる。見慣れた赤の鶏頭花と胡蝶蘭以外の作品が沢山並べられており、また違う画家の絵の魅力を堪能した。
 Hはこう言う。
 「谷岡さんの絵は気持ちいい親しみと暖かさが伝わり、ついついこちらが笑顔になりました。鶏頭の絵はオリジナリティにあふれ素敵、胡蝶蘭とアジサイは色合いが好き、小品の花で鷺草、白い鷺の飛ぶ姿に似ている花だけど、谷岡さんが描くと熱帯の花かと思うほど暖かさが伝わってくる。私の鷺草に持つイメージが変わってしまいました
 Tはメールで言う。
 「谷岡さんの絵は今まで見た「鶏頭」や「胡蝶蘭と紫陽花」のような大きい作品だけでなく可愛い野草を描いた小さい作品や風景もあり、とても新鮮でした」  
 Mは翌日こう言ってきた。
 「谷岡先生はみんなのメールで読んだ通りの素敵な方でした。素敵な花のドレスと笑顔、どちらも魅了されました。お忙しいのに私たちに時間を割いて頂いて感謝しています。ちゃーちゃんの書いているように、小品の野の花の可愛かったこと。ダイナミックな胡蝶蘭の絵とはまた違った魅力が有りました。野の花がとても好きな私にとっては感動でした
 陶芸と絵画でコラボされた会場の雰囲気はとてもよく、今回参加した4人は四日市出身なので、作品を出展している四日市の陶芸家・稲垣竜一ともいろいろ話が弾んだ。
 見学を終えた時、東京在住の同級生Hが名古屋駅にいると連絡が入ったので急いで合流し昼食を共にし、その後、別れて日動画廊(中区錦)で開催されている「第4回東海光風会会員選抜展(~5・21)」に足を延ばし、画家・谷岡経津子の作品を鑑賞した。間近で素晴らしい作品に接し、とても充実した一日だった。
 日動画廊のことをTはこう言っている。
 「残った3人で再度谷岡さんの絵を追いかけて、伏見の日動画廊まで。そこで見た日の出の伊勢・夫婦岩の風景画には心打たれて、感動!夜、谷岡さんからお礼の電話をいただき、そのことを言うと、同じような画題の絵でもノリタケにあった夫婦岩の絵とは全然違うでしょ、と作家本人の言葉を聞いて、日動画廊まで行ってよかった!!
       
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