落語クイズA 2012・10・31(水)~2013・1・26(土)
 兄から「落語雑学クイズ横町」という本をもらった。抜き書きするので挑戦してください。

1 次の語の読み方と意味は?
   寄席 下座 

2 次の語の意味は?
   トリ 大喜利(おおぎり) 天失氣(てんしき) まくら  

3 落語家が手ぬぐいを使って表現するのは、手紙それとも財布?

4 落語家が高座で必ず持っている「かぜ」と「まんだら」はそれぞれ何?

5 落語「まんじゅうこわい」で嘘がばれて、本当に怖いものはと聞かれて
  答えた物は?         茶  酒  せんべい  大福

6 落語「長屋の花見」(貧乏長屋の花見)では酒のつもりが番茶、卵焼きは
  タクアン。かまぼこは?   チクワブ 豆腐 はんぺん 大根

7 エノケン、ロッパ、金語楼らが出演した映画のシリーズは?
    落語長屋 陸軍落語兵 落語娘 銀座カンカン娘

8 落語作家と知られているには?
    南原清隆 さだまさし 桂木文 山田洋次

9  現在の上方落語協会(236名)の会長は?
    笑福亭仁鶴 桂文枝(6代目) 桂文珍 明石屋さんま

10 破天荒な人生が伝説になり、「浪花恋しぐれ」で歌われる落語家は?
    笑福亭松鶴 桂春団治 桂文枝(5代目) 月亭可朝

11 古典落語の演目は?
    ケンカ教室 屁理屈教室 捨てぜりふ塾 あくび指南  

12 落語「死神」のもとになったのは?
    イソップ物語 聖書 グリム童話 ギリシャ神話 

13 元は立川談志の弟子だったのは?
    伊集院光  太田光(爆笑問題) 
    ダンカン(たけし軍団)  東国原英夫( 〃 )

14 関東大震災(大正12年9月1日)に遭った古今亭志ん生は急いで
  どこへ行ったのか?
      長屋  酒屋  銀行  寄席

15 寄席で「ひざ替わり」と呼ばれているのは何?
    ・最初の演者  ・休憩後すぐの演者
    ・最後の一つ前の演者  ・出演予定者の代わりの演者

16 寄席の楽屋にある「ネタ帳」は何の役に立っている?
    ・出演待ちの落語家を退屈させない
    ・出演待ちの落語家が精神統一する
    ・出演待ちの落語家が出し物を決める
    ・出演待ちの落語家の出演時間がわかる

17 現在、名古屋にある寄席は?
    ・栄亭  ・名駅演芸ホール  ・大須演芸場  ・富士劇場

18 別れた夫婦がもう一度出直す落語は?
    ・子ほめ  ・近日息子  ・火事息子  ・子別れ

19 長屋じゅうのおかみさんたちがそろいもそろって“尼さん”に
   なってしまうという噺は?
    ・富士詣り  ・大山詣り  ・野崎詣り  ・天王寺詣り

20 登場人物の酒量がけた外れに多いのは?
    ・寄合酒  ・親子酒  ・試し酒  ・夢の酒

21 落語「いかけや」の「いかけや」は何をする人?
    ・競馬の予想屋        ・鍋釜の修理をする人
    ・祭の景気づけをする人  ・芝居の大道具、小道具を作る人

22 故立川談志の持論は?
 ・落語とは“魂の叫び”である ・落語とは“業(ごう)の肯定である”である
 ・落語とは“人生の学校”である ・落語とは“性(さが)の確認”である

23 「勉強し直してまいります」が、客席へ向けた最後の言葉になった落語家は?
 ・古今亭志ん生  ・三遊亭円生  ・林家彦六  ・桂文楽


落語クイズの答

1 寄席=よせ 落語や漫才、講談、浪曲、奇術や曲芸などを演じる場所。
  東京では新宿末広亭、鈴本演芸場、浅草演芸ホール、池袋演芸場が
  有名。大阪は天満天神繁盛亭が2006年に開場した。
  下座=げざ 三味線で演者の出囃子をひく人、及び場。   

2 トリ 最後に出演する人。
  大喜利=おおぎり 最後の出し物。落語が最後の演目にならない場合
  にかわりにする演目、あるいはトリの落語のあとのオマケ。
  天失氣=てんしき おなら。詳細はこちら
  まくら 本題と何らかの関連がある落語の最初にする短い話。

3 手ぬぐいを使って表現するのは、財布。手紙は扇子で表す。

4 落語家が高座で持っている「かぜ」は扇子、「まんだら」は手ぬぐい。

5 「まんじゅうこわい」で本当に怖いものは、茶。(参照)  

6 「長屋の花見」でかまぼこは大根だった。

7  エノケン、ロッパ、金語楼らが出演した映画のシリーズは落語長屋。
   陸軍落語兵、落語娘も落語の映画。銀座カンカン娘だけが別。  

8  落語作家と知られているのは山田洋次。
   作品は「とんまの使者」「真っ二つ」など。 

9  上方落語協会・236名(落語家223、三味線13)の会長は
   桂文枝(6代目)。

10 破天荒な人生が伝説になり、都はるみの「浪花恋しぐれ」で
   歌われているのは桂春団治。

11 古典落語の演目は、あくび指南(しなん)。
 あくびの指南所ができたので、熊さんが源さんを連れて習いに行った。
「(船遊びの夕暮れ時で、体が自然と揺れている、煙草を一服吸って)船頭さん、船を上手にやっくれないか、堀から上がって、一口やって、中へでも繰り込んでわっと騒ごうよ、船も良いけど長く乗っていると、退屈で退屈で(ホワァー)ならねえや」と師匠が手本を示す。
 熊さんが、何度も真似をしようとするがうまくできなくて時間が過ぎる。横にいた源さんが、「こんなくだらねぇ話を聞いていると、退屈で退屈で(ホワァー)ならねえや」、師匠が「ああ、お連れさんはご器用だ」。

 “あくび指南”という想定がそもそもくだらない。だから落語の世界なのだ。それが楽しく、落ちもとても良い。

12 落語「死神」のもとになったのはグリム童話
 落語「死神」は、借金の目途が立たず死のうと思った男が死神に遇い、 寿命の有る病人に付いている死神を引き離す呪文を教わって医者になる話。グリム童話の「死神の名付け親」は薬草を使うが、それ以外はほとんど同じと言っていい。   
「死神の名付け親」(グリム童話)
 頼まれて名付け親になった死神が、名付けた子どもを裕福にしてやると約束し、その子が大きくなるとある薬草を指さして「お前に、プレゼントをしてやろう。医者になるんだ。お前が病人をみる時には、必ずわたしがいてやろう。わたしが病人の頭の方にいたら、この薬草で治せるだろう。しかし足の方にいたら、助からないからな」そして男は名医となる。
 男は王さまや姫さまの病気に立ちあったが、死神は足の方に立っていた。男は付き人に「病人をベッドごと持ち上げて、頭と足を逆にしてください」と死神をだまし、薬草を飲ませて治した。
 死神は男を洞窟の中へ連れて行き、沢山の生命のローソクを見せて言う。「お前のローソクはまだまだ太くて長い物だったのだが、王や姫を助けたため、こんなに小さくなってしまった」、男は命乞いをしたが死んでしまう。


13 元は立川談志の弟子だったのは?
       伊集院光  太田光(爆笑問題) 
       ダンカン(たけし軍団)  東国原英夫( 〃 )
 ダンカン(たけし軍団)。立川談志門下で「立川談かん」を名乗る落語家から転身、たけし軍団に入った。今でも立川流のBコースの弟子に名を連ねている。Bコースとは本業が落語家の弟子ではなく、有名人等の特別枠。

14 関東大震災(大正12年9月1日)に遭った古今亭志ん生が急いで
  行ったのは酒屋。
   酒飲みだった志ん生は東京中の酒屋の酒が飲めなくなったら困る
  と思い、酒を買いに行った。避難しようとしている酒屋のオヤジが
  この際だから好きなだけ飲んでいいと言ったので、へべれけになる
  まで飲み、一升瓶を抱えて帰ったと言う。高座で寝たりした志ん生は
  落語のようなエピソードが多く、観客に愛された。

15 寄席で「ひざ替わり」と呼ばれているのは、最後(トリ)の一つ前の演者、トリ(その日の主役)の前としての配慮と技量がいる。
 ちなみに最初の演者を「開口一番」、休憩(仲入り)後の最初の演者は「くいつき」と言う。 


16 寄席の楽屋にある「ネタ帳」は出演待ちの落語家が出し物を決める
   ことに役立っている。演者と演目が決まっているホール落語と違って
   寄席は演者がその時に演目を決める。そのため楽屋にネタ帳が置か
   れ、前座が記録する。後から出る演者は前の人と同じ噺や類似した
   噺をしないようにできる。

17 現在、名古屋にある寄席は大須演芸場(1965年~)。寄席の中心は東京と大阪、その狭間で苦戦している。しかし、なんとか持ちこたえている。富士劇場は1961年に閉館された寄席。

18 別れた夫婦がもう一度出直す落語は「子別れ」、人情噺の大ネタ。
   大酒飲みの大工の亭主と別れた母子が後に子供が縁で元に戻る噺、
   そのきっかけであり、落ちで使われる「子は鎹(かすがい)」の言葉から
   別名「子は鎹(かすがい)」。   

19 長屋じゅうのおかみさんたちがそろいもそろって“尼さん”になって
  しまうという噺は大山詣り。富士詣り、野崎詣り、天王寺詣りとも落語
  だが富士詣り、天王寺詣りは聞いたことがない。  

大山詣り
 大山詣りで喧嘩した者は罰金を払い坊主にすると決める。喧嘩っぽい熊さんは案の定、坊主にされてしまう。熊さんは、一足先に江戸に戻り、おかみさん連中に、途中金沢八景見物の舟が転覆して、皆亡くなってしまったと嘘をつき、皆を尼にしてしまう。
 男衆が帰ってきて、女房が尼さんになっているのにびっくりするが、先達さんがそれを見て「めでたい」と言う。理由を問われて、「お山が無事に済んで帰ってきたら、皆さんお毛が(怪我)なかった」というサゲ。上方(かみがた)では「百人坊主」。


20 登場人物の酒量がけた外れに多いのは試し酒
試し酒
 客のお供の下男が大酒飲みだといい、旦那と客で五升飲めるか賭けをする。心配だから表で考えると出て行くが、しばらくして帰ってきて一升入りの盃で五杯飲む。旦那が「表で考えるといって何かマジナイをしてきたのだろ。それを教えてくれ」というと「今まで五升なんて飲んだことがないので、表の酒屋で試しに五升飲んできた」

21 落語「いかけや」は路上で鍋釜の修理をする人を扱う。子供のころには鋳掛け屋を見かけたが、今では死語と言っていい。この落語は鋳掛け屋と悪ガキとのやりとりを扱っていて、桂春団治(3代目)の得意芸である。初代春団治の「いかけや」(録音)を聞いたことがある。

22 故立川談志の持論は、落語とは“業(ごう)の肯定である”。
業の肯定
 人間の業とは欠点だらけの人間の生きざまのこと。業の塊である人間の良いことも悪いことも全てを落語は肯定的に描くことだと談志は言う。法律などのルールに制約された業ではない業そのもの、それが人間であり、業を肯定するとはありのままの人間を肯定する事だと言う。それは人間存在丸ごとの肯定であり、笑いの中に深い人間愛を表現することなのであろう。


23 「勉強し直してまいります」が、客席へ向けた最後の言葉になった落語家は八代目桂文楽。昭和の三名人と言われる文楽は1971年(79歳)8月に、高座で言葉を失ってその後2度と復帰せず12月に亡くなった。この話はとても有名である。
 文楽の細部まで緻密に作り込み、寸分もゆるがせにしない完璧な落語は、五代目古今亭志ん生の八方破れな芸風とは対照的で、当時の人気を二分した。志ん生のハチャメチャな落語はとても楽しいが、練りに練り上げられた文楽の芸術的と言ってよい落語も大好きである。
 随分落語に親しんできたつもりだが、この落語クイズをアップロードしながら、この世界が随分奥深いものであることに気がついた。楽しみながら更にのめり込んでいこうと思う。今は車で桂枝雀を聞きながら、毎日笑い転げている。

     昭和の三名人
        五代目古今亭志ん生、八代目桂文楽、六代目三遊亭圓生
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