会津八一 山光集・草露(四首)
                               昭和十五年十月
  山光集  「昭和15年6月から昭和19年4月に至る4年間に詠まれた246首。
        戦争時代を色濃く反映した作品も含まれる。戦中、戦後の価値観の
        転換によりこの集は3度出版され、歌の取捨が行われている」
  草  露  「恒例の学生を引率した奈良の旅で詠んだ歌である。戦争の時代が
        八一の心に影響してしているようである」
                                        会津八一の歌 索引
1 十月三十一日朝奈良の宿をいでて高畑なる新薬師寺にいたらむとて
    かすがの の をばな かたまけ おく つゆ の 
                 おもき こころ を わが いかに せむ 
歌の解説
2 十一月四日南大和より奈良に帰らむとて車窓に葛城山上の夕陽を望む
    くも ふかみ いま か いざよふ あまつひ の
                 ひかり こもらふ かつらぎ の そら 
歌の解説
3 また二上山を望みて当麻の大曼荼羅をおもふ(第1首)
    うつろひし つづれ の ほとけ つたへ きて 
                 やま は ことし も もみぢ せる かも
歌の解説
4 また二上山を望みて当麻の大曼荼羅をおもふ(第2首)
    こもり ゐて ほとけ おり けむ ふたがみ の
                 やま の をかべ の かりほ し おもほゆ 
歌の解説
                    
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