会津八一 山光集・紅日(七首)
                               昭和十七年三月
  山光集  「昭和15年6月から昭和19年4月に至る4年間に詠まれた246首。
        戦争時代を色濃く反映した作品も含まれる。戦中、戦後の価値観の
        転換によりこの集は3度出版され、歌の取捨が行われている」
  紅  日  「昭和16年12月8日(真珠湾攻撃)、日本は太平洋戦争へと戦線を
        拡大した。その時作られた望遠5首に続く7首である。戦地の門下生
        やこれから出征する若者に送る歌である。紅日(こうじつ)とは真っ赤
        な太陽、多くは朝日のことを言い、第1首から名づけたと思われる」
  戦  争  「戦争は厳しさを増し、昭和16年ごろから様々な方法で学生を戦地に
        送るようになり、特に昭和17年以降の戦局悪化で戦死者数が増加し
        兵力不足が顕著になり、学生の動員が急がれた。昭和18年、兵力不
        足を補うため正式に法律を作り学徒出陣として大量に戦地に送った」
                                        会津八一の歌 索引
1 北満の戦陣にある若き人々に寄す(第1首)
    な が まもる とほき とりで に のぼる ひ の 
                 いや あか からし さむき あさけ を 
歌の解説
2 北満の戦陣にある若き人々に寄す(第2首)
    みゆき ふる かかる あした を くもゐ に か  
                 はう ひき なづむ きみ が おもかげ 
歌の解説
3 北満の戦陣にある若き人々に寄す(第3首)
    みやこべ を な が こふ そら の いづく に か 
                 なきて わたらむ ひとむら の とり  
歌の解説
4 北満の戦陣にある若き人々に寄す(第4首)
    かがやきて かかる ほくと の ながき え を 
                 うちあふぎ つつ まもる よ も あらむ 
歌の解説
5 新に召に応ずる人に(第1首)
    いにしへ の ふみ よみ すてて みいくさ に 
                 いで たつ ひと の あご の そりぐひ  
歌の解説
6 新に召に応ずる人に(第2首)
    いくとせ の おほみいくさ を かへり きて   
                 また よみ つがむ いにしへ の ふみ
歌の解説
7 新に召に応ずる人に(第3首)
    いくとせ の いのち まさきく この かど に 
                 きみ を し またむ われ おいぬ とも  
歌の解説
                    
inserted by FC2 system