会津八一 山光集・海上(五首)
                               昭和十八年十一月
  山 光 集  「昭和15年6月から昭和19年4月に至る4年間に詠まれた246首。
         戦争時代を色濃く反映した作品も含まれる。戦中、戦後の価値観の
         転換によりこの集は3度出版され、歌の取捨が行われている」
  海   上  「学徒出陣が始まり、次々と教え子が戦場に向かう時、学生を連れた
         最後の奈良旅行を行った。この時、“海上”から“明王院”55首を詠む。
         八一は戦争を謳歌する歌人ではなかったが、ただこの“海上”は時代
         の影響を大きく受けている」
                                        会津八一の歌 索引
1 十一月十日学生を伴ひ奈良に向ふとて汽車の窓より東方の海上を望みて
   (第1首)
    おき つ なみ しろむ を みれば うなばら に 
                 くに うまし けむ かみ の よ を おもふ       
歌の解説
2 十一月十日学生を伴ひ奈良に向ふとて汽車の窓より東方の海上を望みて
   (第2首)
    わたつみ の そこ つ いはね の しほざゐ に  
                 かみ の うましし あきつしまやま      
歌の解説
3 十一月十日学生を伴ひ奈良に向ふとて汽車の窓より東方の海上を望みて
   (第3首)
    かき たらす かみ の ぬぼこ の ね も さやに 
                 なり いで に けむ あきつしまやま        
歌の解説
4 十一月十日学生を伴ひ奈良に向ふとて汽車の窓より東方の海上を望みて
   (第4首)
    ひさかたの みそら はるけく あもり きて  
                 うましし くに を まもら ざらめ や     
歌の解説
5 十一月十日学生を伴ひ奈良に向ふとて汽車の窓より東方の海上を望みて
   (第5首)
    ひのもと は かみ の もる くに みほとけ の 
                 しき ます くに と やくも たつ らし       
歌の解説
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