会津八一 山光集・歌碑(八首)
                               昭和十七年四月
  山光集  「昭和15年6月から昭和19年4月に至る4年間に詠まれた246首。
        戦争時代を色濃く反映した作品も含まれる。戦中、戦後の価値観の
        転換によりこの集は3度出版され、歌の取捨が行われている」
  歌  碑  「新薬師寺に八一の名歌
           “ちかづきて あふぎみれども みほとけの 
                     みそなはすともあらぬさびしさ” (解説
        の碑が建立された。これは八一にとって初めての歌碑だが、急の病
        で除幕式に参加できなかった。そうした中で東京から歌碑建立への
        思いを8首詠んだ。詞書き参照」    
                                        会津八一の歌 索引
1 歌碑(第1首)
    「ちかづきてあふぎみれどもみほとけのみそなはすともあらぬさびしさ」と
   いふは新薬師寺香薬師を詠みしわが旧作なりちか頃ある人の請にまか
   せて自らこれを書しこれを石に刻ましめその功もまさに畢りたれば相知る
   誰彼を誘ひ行きてこれを堂前に立てむとするに遽に病を得て発するを得ず
   たまたま寺僧の拓して送れる墨本を草廬の壁上にかかげしめわづかにそ
   の状を想像して幽悶を慰むるのみいよいよ感應の易からざるをさとれり
    めぐり ゐて とも と わが みる まなかひ に  
                 いしぶみ あをく あらはれ たつ も 
歌の解説
2 歌碑(第2首)
    いしきり の いかなる をぢ か わが うた を  
                 くちずさみ つつ ほり つぎ に けむ    
歌の解説
3 歌碑(第3首)
    いしきり の のみ の ひびき の いくひ ありて   
                 いし に いり けむ あはれ わが うた  
歌の解説
4 歌碑(第4首)
    たがね うつ いし の ひびき に みだれ とぶ  
                 ひばな の すゑ に なり いで に けむ  
歌の解説
5 歌碑(第5首)
    しもくぼ の いしや が さくら はる たけて  
                 いし の くだけ と ちり まがひ けむ   
歌の解説
6 歌碑(第6首)
    かきもと の これ の いしぶみ たまたまに  
                 あひしる ひと の みつつ しぬばむ   
歌の解説
7 歌碑(第7首)
    いしぶみ に きざめる うた は みほとけ の  
                 には に はべりて のち の よ も みむ 
歌の解説
8 歌碑(第8首)
   とも と わが おり たつ てら の には の へ に  
                 せまりて あをき たかまど の やま 
歌の解説
                    
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