会津八一 寒燈集・若き人々に寄す(五首)
                               昭和二十年四月
寒 燈 集




若き人々に寄す
「寒燈集は昭和19年6月から21年6月までの212首を収録した歌集。敗戦を挟んだ苦難の時代に詠まれた。空襲による罹災、疎開、きい子の死、その後の孤独な生活が奈良の歌とは違う新しい歌境を作っている。とりわけ、下落合秋艸堂の自然を詠んだ歌(閑庭)、きい子への挽歌(山鳩、観音堂)、戦後の孤独な身辺の歌(炉辺、榾の火)は読む者の心に迫って来る」
「戦争は沖縄の戦いになり、東京は激しい空襲の下にあった。祖国の難局を打開し未来を築くのは若者たちの力だ、と八一は叫ぶ」  
                                        会津八一の歌 索引
1 若き人々に寄す(第1首)
    たからかに こころ かかげよ あをぐも の 
                 たなびく はて を うちあふぎ つつ        
歌の解説
2 若き人々に寄す(第2首)
    もろともに そら うちあふげ くれなゐ に 
                 もえ わたる ひ を こころ なぐさ に
歌の解説
3 若き人々に寄す(第3首)
    おもへ ひと なが もろうで の たぢから に 
                 よりて かかれる ちちはは の くに を      
歌の解説
4 若き人々に寄す(第4首)
    ことあげて あど か も いはめ ひたぶるに 
                 なが ちちはは の くに を まもる に
歌の解説
5 若き人々に寄す(第5首)
    もの すべて あかき ほのほ に やきすてよ 
                 この ちちはは の くに を まもる に       
歌の解説
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