会津八一　寒燈集・街上（四首）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　昭和十九年六月
寒 燈 集




街　　 上		 「寒燈集は昭和１９年６月から２１年６月までの２１２首を収録した歌集。敗戦を挟んだ苦難の時代に詠まれた。空襲による罹災、疎開、きい子の死、その後の孤独な生活が奈良の歌とは違う新しい歌境を作っている。とりわけ、落合秋艸堂の自然を詠んだ歌（閑庭）、きい子への挽歌（山鳩、観音堂）、戦後の孤独な身辺の歌（炉辺、榾の火）は読む者の心に迫って来る」
「サイパン島などがアメリカ軍に制圧され、本土空襲は必至の状態になった。敗戦直前の今では信じられないような東京の姿を詠む」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　会津八一の歌　索引
１　街上（第１首）
　　　　まち　ゆけば　ばうくうがう　の　あげつち　に　
　　　　　　　　　　　　　　　　　をぐさ　あをめり　あめ　の　いとま　を　　　　　　　		 歌の解説
２　街上（第２首）
　　　　うちひさす　おほき　みやこ　の　みち　の　へ　に　
　　　　　　　　　　　　　　　　　ひとむらほむぎ　いろ　に　いでつ　も　　　　　　		 歌の解説
３　街上（第３首）
　　　　まちびと　が　きばこ　に　まきし　こまつな　の　
　　　　　　　　　　　　　　　　　このごろ　のびて　はる　はて　に　けり　　　　　　　　		 歌の解説
４　街上（第４首）
　　　　すずかけ　の　かげらふ　みち　に　いくばく　の　
　　　　　　　　　　　　　　　　　くろつち　ありて　なすび　はな　さく		 歌の解説
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
inserted by FC2 system