「世界がもし100人の村だったら」   
    本書を2001年2月に亡くなられたドネラ・メドウズさんに捧げる。

 中学校に通う長女の担任は生徒たちに、毎日メールで学級通信を送ってくださるすてきな先生です。そのなかに、とても感動したメールがあったのでみなさんにも送ります。少し長くてごめんなさい。

 今朝、目が覚めたとき、あなたは今日という日にわくわくしましたか?
 今夜、眠るとき、あなたは今日という日にとっくりと満足できそうですか?
 今いるところが、こよなく大切だと思いますか?
 すぐに「はい、もちろん」といえなかったあなたに、このメールを贈ります。これを読んだらまわりがすこし違って見えるかもしれません。

 世界には63億人の人がいますがそれを100人の村に縮めるとどうなるでしょう。
 100人のうち52人が女性です 48人が男性です
 30人が子どもで 70人が大人です そのうち7人がお年寄りです
 90人が異性愛者で 10人が同性愛者です
 70人が有色人種で 30人が白人です
 61人がアジア人です 13人がアフリカ人 13人が南北アメリカ人 12人がヨーロッパ人 あとは南太平洋地域の人です
 33人がキリスト教 19人がイスラム教 13人がヒンドゥー教 6人が仏教を信じています 5人は、木や石など、すべての自然に霊魂があると信じています 24人は、ほかのさまざまな宗教を信じているかあるいはなにも信じていません
 17人は中国語をしゃべり 9人は英語を 8人はヒンディー語とウルドゥー語を 6人はスペイン語を 6人はロシア語を 4人はアラビア語をしゃべります これでようやく、村人の半分です あとの半分は ベンガル語、ポルトガル語、インドネシア語、日本語、ドイツ語、フランス語などをしゃべります
 いろいろな人がいるこの村では あなたとは違う人を理解すること 相手をあるがままに受け入れること そしてなによりそういうことを知ることがとても大切です
 また、こんなふうにも考えてみてください 村に住む人びとの100人のうち
 20人は栄養がじゅうぶんではなく 一人は死にそうなほどです でも15人は太りすぎです
 すべての富のうち 6人が59%をもっていて みんなアメリカ合衆国の人です 74人が39%を 20人が、たったの2%を分けあっています
 すべてのエネルギーのうち 20人が80%を使い 80人が20%を分けあっています
 75人は食べ物の蓄えがあり雨露をしのぐところがあります でも、あとの25人はそうではありません 17人は、きれいで安全な水を飲めません
 銀行に預金があり 財布にお金があり 家のどこかに小銭が転がっている人は いちばん豊かな8人のうちの一人です
 自分の車をもっている人は7人のうちの一人です
 村人のうち1人が大学教育を受け 2人がコンピューターをもっています けれど、14人は文字が読めません
 もしもあなたが、いやがらせや逮捕や拷問や死を恐れずに 信仰や信条、良心に従ってなにかをし、ものが言えるなら そうではない48人より恵まれています
 もしもあなたが 空爆や襲撃や地雷による殺戮や 武装集団のレイプや拉致におびえていなければ そうではない20人より恵まれています
 1年の間に、村では1人が亡くなります でも、1年に2人の赤ちゃんが生まれるので 来年、村人は101人になります
 もしもこのメールを読めたなら、この瞬間、あなたの幸せは2倍にも3倍にもなります なぜならあなたには あなたのことを思ってこれを送った誰かがいるだけでなく 文字も読めるからです けれどなによりあなたは生きているからです
 昔の人は言いました 巡り往くもの、また回り還る、と
 だからあなたは、深ぶかと歌ってください のびやかに踊ってください 心をこめて生きてください たとえあなたが傷ついていても 傷ついたことなどないかのように愛してください
 まずあなたが愛してください あなた自身と、人がこの村に生きてあるということを
 もしもたくさんのわたし・たちがこの村を愛することを知ったなら まだ間にあいます 人びとを引き裂いている非道な力から この村を救えます きっと
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